「130万円の壁」への対応について

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今年も早いもので残すところわずかとなりました。

この時期になりますと繁忙期を迎える企業は多いかと思います。
年末の忙しい時期に通常より多く出勤してほしいと考える事業主の方も多いのではないでしょうか。

逆にパート・アルバイトの方は「勤務時間が増えると年金や医療など社会保険料の負担が発生して手取り収入が減ってしまう」「年収が増えると扶養から外れてしまう」といった理由で、働き過ぎないように就業調整をしている人も多いでしょう。

このように年末は在籍している従業員はいるのに人出不足のような状態に陥っている企業も多いのではないでしょうか。

このような状態の対応策として厚生労働省は、短時間労働者が年収の壁を気にせず働くことができる仕組みとして「年収の壁・支援強化パッケージ」を開始しています。

今回はその中の「130万円の壁」への対応をご紹介いたします。



事情主の人手不足等の事情に伴い、パートやアルバイトで働く人が繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が『一時的に』上がり年収130万円を超えたとしても、事業主が一時的な収入増であることを証明する書類を作成し、その証明を被保険者が加入する健保組合などに提出することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となります。


◆注意点

あくまでも「一時的な」収入変動が対象であるので、基本給が上がった場合や、恒常手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合においては、一時的な収入変動とは認められません。

       

上限額

上限額は定められていません。
収入金額のみで判断するのではなく、各保険者において雇用契約書等も踏まえつつ、増収が一時的なものかどうか確認します。


回数

同じかたについて「一時的な収入増であること」を事業主が証明できるのは、原則として連続2回(毎年1回被扶養者の収入確認がある場合、約2年間)までが上限となります。

           

雇用契約書等を踏まえ、年間収入の見込みが恒常的に 130 万円以上となることが明らかであるような場合には、被扶養者に該当しなくなることとなります。
また、社会保険の被扶養者の要件は、収入要件だけではないため、その他の要件を満たしていないことにより、被扶養者に該当しなくなることも考えられます。
まずはご加入の健康保険組合等にご相談ください。

また、『一時的なもの』ではない場合は就業調整をせず社会保険に加入するという選択肢もあります。

社会保険に加入することは保険料がかかるだけでなく、傷病手当金や出産手当金を受けることができるようになったり、将来もらえる年金が増えたりといったメリットもあります。

今後の事業の忙しさの見通しや、自身の働き方を見据え事業主と労働者でしっかりと話し合い、お互いが納得した上で取組を進めていきましょう。

          

引用、参考資料

事業主の証明による被扶養者認定Q&A(厚生労働省)

年収の壁・支援強化パッケージ