パワーハラスメント防止措置

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4月1日から、大企業、中小企業問わず、すべての事業主に職場におけるパワーハラスメント防止措置が義務化されています。対応しなければ違法となる措置があります。皆さまの職場における整備状況はいかがでしょうか。

まずは、職場のパワーハラスメントの定義を確認します。

職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる                           ①優越的な関係を背景とした言動であって、                                ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、                             ③労働者の就業環境が害されるもの                                    であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

ここでいう職場とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば、その場所も職場になります。よって、勤務時間外である懇親会、社宅・寮、あるいは通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当するとされます。なお、該当するかどうかの判断を行う場合、職務との関連性や、懇親会などであれば参加が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。

また、労働者とは、正社員に限らず、パート、アルバイト、契約社員など、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。なお、派遣労働者については、派遣元事業主だけではなく、派遣先事業主も自ら雇用する労働者と同様に措置を講ずる必要があります。

それでは、3つの要素について見ていきましょう。

①「優越的な関係を背景とした言動」とは、業務の遂行にあたり、当該言動を受ける労働者が、行為者とされる者に対し、抵抗や拒絶することができない蓋然性(「事柄が発生する確実性」やその確実性の「度合い」「確からしさ」のこと)が高い関係を背景として行われるものを言います。
「職務上の地位が上位の者による言動」が考えられますが、「同僚または部下による言動で、言動を行う者(行為者)が業務上必要な知識や豊富な経験を有し、その者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難である場合」や、「同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難である場合」が、これに該当します。

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」とは、社会通念に照らし、その言動が明らかに業務上必要性がない、またはその態様が相当でないものを言います。
「業務の目的を大きく逸脱した言動」、「業務の遂行手段として不適当な言動」、「その行為の回数、あるいは行為者の人数等、その態様や手段が社会通念に照らし許容範囲を超える言動」などが挙げられます。なお、この判断についても、さまざまな要素をもとに総合的に考慮します。ただし、その結果、労働者(その行為を受けた者)に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動が労働者になされている場合は、職場のパワーハラスメントに該当します。

③「就業環境が害されるもの」とは、その言動により、労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなり、その労働者が能力を発揮するにあたり重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できないほどの支障が生じることを言います。
この判断は、平均的な労働者の感じ方、すなわち、同様の状況下で、一般の労働者が、もし仮にその言動を受けたとしたなら、それが「就業する上で看過できないほどの支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準にすることが適当とされています。なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的または精神的苦痛を与える態様の言動であった場合は、1回であっても就業環境を害する場合があり得ます。

パワーハラスメントを防止するために、事業主の方針等の明確化および周知・啓発、および相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備は、少なくても事前対応として現在講じていなければならないものです。

まだ対応されていない事業主の方は、パワーハラスメントの他、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、カスタマーハラスメントなど、ハラスメント全般についての整備も急ぎ実施しましょう。