過労死等防止対策

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過労死等は、本人や家族だけではなく、社会にとっても大きな損失です。

日本ではこの状況がなかなか改善されません。

まずは過労死等とは具体的にどういう状態のことをいうのでしょうか。

今から7年前の2014年11月に、過労死等防止対策推進法が施行され、その第2条に、過労死等の定義として以下の3項目を規定しています。

(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡

(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡

(3)これらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害

3番目は、死亡してはいないものの症状がある方ということです。

過労死ではなく過労死等として、広く規定しています。

なかなか改善の兆しが見られない中、過労死等事案の認定基準の1つである脳・心臓疾患認定基準が、昨年9月に改定されています。

改正のポイントは4つです。

1、長期間の過重業務の評価にあたり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して認定することを明確化

・労働時間が発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働というこれまでの水準には満たなくても、これに近い時間外労働や、プラスして労働時間以外の負荷要因ある場合には、業務と発症との関連性が強いと評価されます。

2、長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因の見直し

・労働時間以外の負荷要因として、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務、その他事業場外における移動を伴う業務、心理的負荷を伴う業務、身体的負荷を伴う業務が追加されました。

3、短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

・短時間の過重業務では、発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合、発症前おおむね1週間継続して、深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合、また、異常な出来事では、業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合、生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合などをそれぞれ例示しています。

4、対象疾病に「重篤な心不全」を追加

・心不全は心停止とは異なる病態のため「重篤な心不全」が追加されました。重篤な心不全には不整脈によるものも含まれます。

過重労働対策として、時間外労働の制限などの労働時間管理、労働安全衛生管理体制の見直し、安心して相談できる窓口の設置、風通しの良い職場風土作りなどがあります。

ストレスをためないことからメンタルヘルス対策も有効です。

先日のコラムで紹介しました産業保健総合支援センターを活用することもその1つです。

今月11月は「過労死等防止啓発月間」です。

過労死等ゼロを目指しともに行動していきましょう。