2023年4月1日から、中小企業の事業主の方も、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が改定されます。
これまでは、労働基準法附則第138条の猶予措置によって、中小企業の事業主は月60時間以上を超える場合であっても、25%以上の割増率が適用されていましたが、大企業と同様に、 50%以上の割増率が適用されます。
なお、この時間数には、法定休日労働の時間数は含まれまません。割増賃金率の引き上げにより、就業規則にその旨を規定しなければならない事業者が多いと思いますのでご注意ください。
また、同じく就業規則の規定により、月60時間を超える時間外労働をさせたとき、月60時間超の割増率50%と時間外割増率の原則25%との差25%については、割増賃金の支払いに代えて、代替休暇を付与することもできます。
例えば、時間外労働が月に68時間の場合、割増率50%の8時間(=68時間ー60時間)×25%(=月60時間超の割増率50%ー法定の時間外割増率25%)である2時間分を代替休暇として付与することもできるのです。なお、代替休暇を付与する場合であっても、引き上げ分を除いた25%分の割増賃金は必ず支払います。
一方、時間外労働の上限規制も考慮しなければなりません。時間外労働は年720時間以内、また、時間外労働+法定休日労働を合計した時間数が、単月100時間未満かつ2〜6か月の複数月平均80時間以内です。
これを機に、時間外労働を減らし、従業員の健康に留意し、働きやすい職場環境を目指していきましょう。